ペダルの役割E9チューニング

ペダルスチール ペダルの役割 E9

ペダルスチール・ギターにはいくつものペダルとニー・レバーが付いています。これらのペダルは特定の弦の音程を変化させることができますが、具体的にどうなっているのかは分りづらいものです。ペダルやレバーが、何弦にどのように作用するのかを見てみましょう。

※ここでは、E9チューニングでのペダル動作について見ていきます。
C6のチューニングに関してはこちら→ペダルスチール ペダルの役割 C6

ペダルの役割
ペダルスチールのペダルやニー・レバーがどの弦にどよのように作用するかは、楽器を制作する前、設計する時に、既に決められています。従って、これを使用者が自由に変更することはできません。ペダルスチールは、チューニングも決められており、チューニングに合わせてペダルやニーレバーが取り付けられています。

ここではまず初めに、E9thチューニング、10弦、3ペダル、2レバー、の楽器を見てみます。これは、カントリー系プレイヤーの間で最もよく使われているチューニングであり、E9thチューニングのペダルスチールは、最も入手しやすいモデルです。E9thチューニングのペダルスチールには、3本のペダルが付けられています。ペダルは左から「Aペダル」「Bペダル」「Cペダル」と呼びます。

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▲左からA B Cペダルと呼びます。

ペダルを踏み込む事でシャフトを動かし、ブリッジのコマにあたるチェンジャーを動かして弦の音程を変えます。「踏み込む」という動きはシャフトを「引っ張る」事になるので、弦を「引っ張る」事になります。よって、ペダルは”基本的には”音程を「上げる」操作をします。チェンジャーの方式によって、シャフトを引張ることで音程を下げるPull方式と、シャフトを押すPush方式のペダルもあります。

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▲ペダルと連動するようにシャフトが取り付けられています。

Aペダル
一番左に取り付けられた「Aペダル」は、5弦と10弦の音程を1音上げます。

ここで、チューニングと合わせて確認してみましょう。E9thチューニングは以下のようになります。5弦と10弦は同じ音程にチューニングしますね。要するに、AペダルはB音をC#音にするペダルであることが分かると思います。これは、5thを6thにする事になります。

具体的な役目を見てみます。Aペダルは5thを6thにします。8弦と6弦と5弦の3本を摘弾くと、メジャーコードが鳴ります。開放弦でこの3本を弾くと「Eコード」になります。8フレットでこの3本を弾くと「Cコード」になります。8弦がルート、6弦が3rd、5弦が5thです。Eコードの場合→[8弦-6弦-5弦]が[E音-G#音-B音]になります。

開放弦3本の音程
5弦 → B音 5th
6弦 → G#音 3rd
8弦 → E音 root

Aのペダルを踏むと、5弦のB音が→C#音になります。[8弦-6弦-5弦]が[E音-G#音-C#音]になります。音程を見てみるとC#mコードになることが解ります。Aペダルを踏むと、EコードがC#mコードになります。[I]が[VIm]になるということです。これがAペダルの役割になります。

Aペダルを踏むと
5弦 → C#音 root
6弦 → G#音 5th
8弦 → E音 3rd

Bペダル
左から2番目に取り付けられた「Bペダル」は、6弦と3弦の音程を半音上げます。

ここで、チューニングと合わせて確認してみましょう。6弦と3弦は同じ音程になります。BペダルはG#音をA音にするペダルであることが分かると思います。これは、3rdを4thにする事になります。

具体的な役目を見てみます。Bペダルは3rdを4thにします。前述した通り、8弦と6弦と5弦の3本を摘弾くと、メジャーコードが鳴ります。開放弦でこの3本を弾くと「Eコード」になり→[8弦-6弦-5弦]が[E音-G#音-B音]になります。

Bペダルを踏むと6弦が半音上がるので、[E音-A音-B音]になり、Esus4になります。

Bペダルを踏むと
5弦 → B音 5th
6弦 → A音 4th
8弦 → E音 root

Aペダルも同時に踏んでみましょう。Aペダルは5弦の音程を1音上げます。Bペダルは6弦を半音上げます。同時に踏むと[E音-A音-C#音]になり、Aコードであることが解ります。[I]→[IV]となります。

AとBを同時に踏むと
5弦 → C#音 3rd
6弦 → A音 root
8弦 → E音 5th

Cペダル

左から3番目に取り付けられた「Cペダル」は、4弦と5弦の音程を1音上げます。

チューニングと合わせて確認してみましょう。4弦はE音、5弦はB音です。Cペダルを踏むと4弦がF#音、5弦がC#音になります。同時に8弦のE音も1音上がりF#音になります。A、Bペダルのように、同じ音程を操作するものではないので、ちょっと特殊な感じがしますね。

Cペダルは、A、Bペダルとは少し違った音程変化をするペダルなので、具体的な使い方は、実際のフレーズを使って説明することにします。

ペダルのチューニングチャート
E9thチューニング、10弦、3ペダルのチューニング・チャートを見て、よく確認しておきましょう。※ギターの種類によって以下と違うこともあります。

金髪先生

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ペダルスチール開放弦のチューニング

ペダルスチール 開放弦のチューニング

ペダルスチール・ギターのチューニングについて見てみましょう。ペダルスチールは、その楽器の構造上、チューニングが決まっています。自由にチューニングを組み替えたり、ペダルの位置を変えたりすることはできません。現在最も多く使われているのはE9チューニングだと思われます。ここでは、このE9チューニングと、C6チューニングについて見てみましょう。また、ここでは、開放弦のチューニングのみ解説しています。ペダルのチューニングに関しては別の頁で詳しく解説していきます。

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※このようなダブル・ネックのペダル・スチールは、写真で見て手前側がE9thチューニング、奥がC6thチューニングになっています。演奏する時は向こう側に座りますので、手前がC6、奥がE9になります。

E9チューニング
弦の数は10本です。楽器を弾く体勢で奥になる弦が1弦、手前に来るにしたがって2弦→3弦→4弦…と数えます。一番手前の弦が10弦です。通常のギターと同じように、1弦側が高音弦、10弦側が低音弦になりますが、最も高い音が鳴る弦は3弦です。

E9thチューニング譜面

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弦と音程の関係このようになります。3弦が一番高い音になります。高音弦は、音程が隣接していますが、これはメロディーを効率よく弾くのに適しています。

1弦 F#
2弦 D#
3弦 G#
4弦 E
5弦 B
6弦 G#
7弦 F#
8弦 E
9弦 D
10弦 B

ペダルスチールは、ペダルやニーレバーの操作によって弦の音程を個別に変える事ができます。ペダルを併用することで、とても複雑な音の並びになりますので、開放弦の音程は確実に覚えておきましょう。

E9チューニングのポイント
E9チューニングのポイントを掴んでおきましょう。E9チューニングは、6弦ラップスチールでも使われるEチューニングから、7thを加えたE7チューニングが元になっています。チューニングを覚える際、むやみに10本の弦を覚えるのは大変なことですし、ただ覚えているだけでは、あまり実践的に利用する事はできません。音程の並びをしっかり解析してみましょう。

E9チューニングは、Eコードのトライアドを中心に弦と音の関係を覚えておくと良いです。トライアドの音程となる弦と、それ以外の弦を分けて考えておくと解りやすくなっていきます。まず大事な弦は8弦です。8弦がトライアドのルート音になります。そして7弦を飛ばして、6弦(3rd)5弦(5th)4弦(ルート)3弦(3rd)と順番にEコードのコード・トーンが並んでいます。そして下には10弦(5th)があり、この6本の弦をピッキング・エクササイズをするのと同時に覚えていくと良いでしょう。また、このEトライアドの配列は、6弦のEチューニングとも良く似ているのがわかります。ここにD音を加えたのがE7チューニングとして、ラップスチールでも使われています。

e9triad
▲3弦、4弦、5弦、6弦、8弦、10弦がトライアドになる。これをまず初めに覚える。

トライアドが覚えられたら、それに少しずつ弦を追加していきます。まずは8弦のすぐ上隣にある7弦です。これが2ndです。Key=CではD音になります。

8弦のすぐ下隣にあるのが9弦、7thの音程が鳴ります。Key=CではBb音になります。

1弦と2弦はメロディーを効率よく弾くための高音弦として、低音弦側とは別に考えておくと良いでしょう。低音弦は8弦を基準にしていますが、高音弦側はは4弦を基準にしておくと解りやすいです。4弦に対して、1弦は2ndです。2弦は4弦の半音下、導音のメジャー7thが鳴ります。また、1弦と7弦は同じ音程ですが、高音弦と低音弦を分けて捉えているため、この2つが同音である事はあまり考えません。

C6チューニング
C6チューニングはラップスチールで使われるC6チューニングとほぼ同じです。G音トップの8弦C6チューニングに、さらに2本の弦を下に足しています。音程は1弦から10弦に向かって順に下がっていくので、1弦が一番高い音程、10弦が一番低い音程になります。1弦を2弦より2度下のD音にチューニングすることも良くあります。

C6チューニング譜面c6tunning

1弦 G
2弦 E
3弦 C
4弦 A
5弦 G
6弦 E
7弦 C
8弦 A
9弦 F
10弦 C

まとめ

楽器を演奏する上で、チューニングを理解する事はとても重要な事です。チューニングは確実に覚えて、自由なプレイができるようにしておきましょう。

現在のペダルスチールは10弦が主流になっています。ペダルスチールのチューニングは、数々のプレイヤーが様々なパターンを試した結果、現在の形に落ち着いています。しかし、これから先、また新たなチューニングが生まれないとも言い切れません。これを読んでいるあなたが、その第一人者になるかもしれませんね。まずは現在主流になっている2つのチューニングをマスターしてみて下さい。

金髪先生

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スチールギターについて

スチールギターについて

スチールギターについて
スチールギターと呼ばれる楽器があります。どんな楽器なのでしょうか?スチールギターの弾き方や、スチールギターのコード、スチールギターの特徴について順次解説していきたいと思います。

スチールギターとは
スチールギターは、ギターを横に寝かせたような格好をしています。ギターを横に寝かせて弾いた所から、このような形をしています。弦の数は、通常のギターと同じ6本弦を初め、8弦、10弦があります。特殊なものとして、7弦や9弦、11弦、12弦もあります。通常のギターと同様にエレキ仕様とアコースティック仕様があります。エレキはアンプを使って音を鳴らし、エフェクターを使うこともできます。

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▲スタンドで立っているスチール・ギター

 

▲こちらは10弦です。

 

スチールギターの弾き方
スチールギターは、押弦をしません。左手に持ったバーで弦長をコントロールします。ボトル・ネック奏法と同じ要領です。使うバーは、ボトルネックのような軽いものではなく、鉄の塊を棒状にした重いバーを使います。バーが重いとサスティンのあるハリのある良い音がします。バーが軽いと音の伸びは少なく、低音感のないペラペラの音になりますが、細かいフレーズ回しができるようになります。

▲色々なバーがあります。

右手はサム・ピックとフィンガー・ピックつけて弾きます。左手にバーを持つ事を前提としているため、弦のテンション(張力)が通常のギターに比べて強くなっています。押弦の必要がないことと、テンションが強い方が音の伸びが良い為、太い弦を張って、張力を稼いでいます。弦の張りがキツイ為、指ではじくと弦の強さに負けて、綺麗な音を鳴らす事ができません。通常のフラット・ピックでは、手首の角度がおかしくなり、弾きにくくなります。そのため、スチールギターはサム・ピックとフィンガー・ピックで弾きます。

スチールギターは大きく分けてラップ・スチールとペダル・スチールに分けられます。ペダル・スチールは、ギターにペダルやニー・レバーが付いていますが、ここで紹介するのは、ラップ・スチールです。ラップ・スチールは、名前の通り、ひざに置いて弾きます。先に紹介したように、スタンドに立てて、立って弾く事もできます。

▲スチール・ギターを弾く

スチールギターの特徴
ico_num5a_1スチールギターは常にバーを使って弾きます。スライド・プレイの経験者は解ると思いますが、押弦に比べ、自由なコード・フォームを作る事ができません。コードは基本的なトライアドを中心に弾き、4和音以上のコードは構成音を考えながら、2和音、3和音を組み合わせて弾く事になります。

ico_num5a_2右手はサム・ピックとフィンガー・ピックなので、ストロークで弾くのではなく、各弦を爪弾きます。ストロークは殆どしません。ストロークしない限りは、同時発音数は最大で3音です。殆どのフレーズが、単音か2音、3音の組み合わせになります。

ico_num5a_3バーを使うプレイ・スタイルのため、チューニングがオープンになります。チューニングのパターンは色々ありますので、全てを網羅する事はできません。ジャンルや弾きたいフレーズに合わせて2つ、3つのチューニングを覚えて弾きこなします。

ico_num5a_4主に使われるジャンルはハワイアンかカントリーです。それらの雰囲気を出したい時に使われる事もあります。カントリーで使われるのは、ペダルの付いたペダル・スチールが多いです。が、CINDY CASHDOLLARのようにペダルのないスチール・ギターでもカントリーの名手が沢山います。通常のギターと違って、どんなジャンルでもオールマイティーに使われている訳ではないようです。

チューニングについて
スチールギターは左手にバーを持って弾く為、オープン・チューニングで弾く事が基本となります。様々なプレイヤーが独自のチューニングで弾いていますが、ここでは一般的に使われるC6チューニングの一例を紹介しておきましょう。各弦のチューニングは以下の通りです。

10弦 8弦 6弦 音程 音名
1弦 1弦   G
2弦 2弦 1弦 E
3弦 3弦 2弦 C
4弦 4弦 3弦 A
5弦 5弦 4弦 G
6弦 6弦 5弦 E
7弦 7弦 6弦 C
8弦 8弦   A
9弦     F ファ
10弦     C

6弦スチール・ギターのチューニング表を見てみましょう。1~3弦は開放弦でAm、4~6弦はCになります。開放をじょろ~んと弾くとC6又はAm7になります。スチールギターには、通常のギターと同じようなルート音の概念がありません。コードは構成音のみで考えます。従ってC6=Am7になります。これは、ウクレレの開放弦と同じ構成音になります。8弦や10弦のチューニングは、これと違うものも多く使われます。あくまで、一例と思っておいて下さい。特に8弦のチューニングは1弦~ECAGECAGとするものがよく使われます。1~4弦のオクターブ下を5~8弦に張ったものです。

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※スチール・ギターのチューニングは、全弦を440Hzで合わせてはいません。スチール・ギターは、弦によって基準となる音程を変えています。このチューニング観が、また独特なニュアンスを生みます。

スチールギターの弦
スチール・ギターは、名前の通りスチール弦を張っています。チューニングに合わせて弦のゲージは大体以下のようになっています。メーカーやプレイヤーの好みで違いはあります。バーを使って弾くので、フラット・ワインドの弦を使う事も多いです。弦は、6弦用、8弦用、10弦用のセットで販売されています。10弦のセットで1,200円〜3,000円位です。

音程 ゲージ
SteelStrings
▲8弦のセット弦です
1 G 012
2 E 014
3 C 018
4 A 022
5 G 024
6 E 030
7 C 036
8 A 042
9 F 054
10 C 068

足回り
スチールギターの多くは、エレキ・ギター同様にアンプに繋いで音を鳴らします。アコースティックのスチールギターもあります。アンプは、通常のエレキ・ギターで使われるアンプを使えばいいです。スチールギター専用のアンプもありますが、高価な事と、国内にあまり流通していないので、入手は困難でしょう。その際、クリーン・トーンに特化したフェンダー系のアンプや、RolandのJC-120等を使うと良いでしょう。アンプを繋ぐという事は、エフェクターを繋ぐこともできます。特に、手元でのボリューム・コントロールが難しいため、ボリューム・ペダルは多く使われます。音の特徴を活かして、リバーブやディレイの空間系も用意するといいでしょう。また、コンプ系のエフェクターも良く使われます。サスティンを活かす事がプレイの特徴なので、あると便利です。

Efx

次回に持ち越し
スチールギターは独特なサウンドを持つ楽器ですが、ボトル・ネックのギターとの違いは?卓越した演奏技術があれば、それに勝るサウンドは通常のギターで鳴らすことは出来ませんが、けっこうな所まではボトルでも似たようなサウンドを出す事ができます。では、スチールギターの優れている点は何なんでしょう?ゆっくり検証していきましょう。

金髪先生

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C6 Pedal Steel Guitar

C6 Pedal Steel Guitar

C6 Pedal Steel Guitar

C6チューニングのペダル・スチール・ギターの演奏をしてみましょう。C6チューニングのペダル・スチールはウエスタン・スイングやカントリー・チューンでの演奏に多く用いられていますが、今回はジャズ・ブルースでの演奏をしています。豊かなコードの響きを活かしたこのようなプレイにも、C6のサウンドかマッチしていますね。

 

使用しているスチール・ギターは、FuzzyのExcelです。C6チューニングのシングル・ネック、10弦、6ペダル、3レバーの仕様ですが、基本の5番~7番と8番ペダルに加えて、3弦のレバーがあれば演奏出来ます。4番と9番、LKLは使用していません。通常のC6チューニングですが、1弦を「D音」にしています。このスチール・ギターは1弦に5番ペダルがアサインされているのですが、今回はDにチューニングしているので、1弦のペダルだけ外しています。チェンジャーは一般的なAllPullで、国産ならではの軽さと弾きやすさを持った、とても良いギターです。今回は曲に合わせたマイルドな音作りをしていますが、カントリー・チューンに合わせた抜けの良い音も、もちろん鳴らす事が出来ます。

 

バッキング例も弾くために中間にギター・ソロを2コーラス入れています。ギターはRGSギタースクールの武谷先生に弾いてもらいました。C6チューニングのコード・ワークは非常に魅力的です。ペダルとレバーの組み合わせにより得られる豊かなサウンドには、まだまだ可能性が秘められていると思います。また色々な演奏をしていきたいと思います。