スチール・ギター初心者が選ぶ楽器はどれ?

スチール・ギター初心者が選ぶ楽器はどれ?

スチール・ギターを始めるにあたって、いくつも種類のある楽器からどれを選んだらいいでしょう。スチール・ギター初めの1歩の楽器選びに付いて見てみましょう。スチール・ギターに限らず、初めの楽器を選ぶのはとても重要です。最初の1台によって、その後の楽器に対する取り組み方が変わってくるものですので、慎重に選びたいところですが、何も分からないと選びようがないと思いますので、まず、楽器に関する基本的な事をお勉強しておきましょう。今回は楽器選びに付いてを中心にお話をしていきます。

目次
スチールギターの種類
弦の数
ネックの数
チューニング
ラップ・スチール・ギター
楽器を選ぶ基準

スチール・ギターの種類
楽器選びの前に、スチール・ギターの種類を大まかに覚えておきましょう。楽器の種類をある程度把握しておき、自分に合った楽器はどれか、どのようなサウンドを目指しているのか、どのような曲が弾きたいのかに合わせて選んで下さい。スチール・ギターを大きく3種類に分けます。

ラップ・スチール・ギター
ペダル・スチール・ギター
アコースティック・スチール・ギター

それぞれを具体的に見てみましょう。まず「ラップ・スチール・ギター」はペダルの付いていない物を総称して呼ぶ名前です。ラップ・スチールの中でも、コンソール・タイプや膝置きの物もあり、また、アコースティック・スチール・ギターもペダルが付いていないのでラップ・スチール・ギターに分類してしまいます。ペダル・スチールに比べ、演奏の難易度は低く、軽く手軽に持ち運べ、小さく、安価なモデルが多く作られています。

ペダル・スチールは、コンソール・タイプのラップ・スチールにペダルとニー・レバーが付いているものです。ペダルを操作する事で、特定の弦の音程を変化せることができ、両手両足を常に動かしながら演奏しています。演奏難易度は高く、簡単に持ち運べるような重量ではなく、大きく、高価です。ペダル・スチールは、ラップ・スチールはもとより、他の楽器の追随を許さない圧倒的な存在感があり、その音が楽曲に入ったとたんに雰囲気を支配できる程の強い音色が特徴です。

 

ラップ・スチール・ギターの中でもアコースティック仕様のものは、特殊な楽器として分類しておきます。楽器本体を響かせる独特な生楽器の音が特徴です。楽器の大きさは、通常のギターと同じ位ありますが、楽器の中は空洞なので、重量はありません。演奏の仕方はラップ・スチール・ギターと基本的には同じです。ラップ・スチール・ギターに比べ生産されている個数が少ないので、値段も少し高めになります。

これら3種類の楽器のうち、アコースティック・スチールは初めの1台としては除外してしまいましょう。数も少なく、高価で、独特なサウンド感になるので、余程その音を求めない限りは難しい楽器になります。

ラップ・スチールとペダル・スチールに関して。ペダル・スチールの音は絶対的な存在感があります。しかし、楽器は高価で、重く、演奏難易度は相当高いです。左手と右手の使い方は基本的にはラップ・スチールと同じなので、ラップ・スチールから練習するのも一つの方法ですが、ペダルのその音に魅了されるとラップ・スチールでは物足りなさを感じるかも知れません。ペダルが弾きたい方は覚悟を持ってペダルを弾きましょう。ペダルを踏む感覚は、ペダル・スチールでしか練習することはできません。始めは難しくまともに曲を弾く事は出来なくても仕方ありません。それでも気合を入れることが出来れば、ペダル・スチールから弾き始めるのが良いでしょう。

単に、スチール・ギターの音や雰囲気を求めるのであれば、または、あまりよく分からないけどスチール・ギターを弾いてみたいと言う方はラップ・スチール・ギターから始めるのが良いです。ある程度弾けるようになったらペダルへ移行したりすることもできます。演奏の基本的なテクニックは、ラップ・スチールで練習する事はできます。

ペダルに取りつかれた方はペダル・スチール。それ以外のスチール・ギターを弾きたい方はアコースティックではないラップ・スチール・ギターを選びましょう。

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弦の数
スチール・ギターは多弦の機種が多くあります。弦の数はどのように選ぶと良いかを見てみます。ラップ・スチール・ギターの弦の数は6弦が最小であり、基本のセットアップです。まずは6弦からスタートするのが良いと思いますが、弦の数が増えたといって演奏の難易度が極端に上がる訳ではありません。スチール・ギターの難しい所はピッキングそのもにあるので、弦の数が1本でも2本でも難しい部分は変わらないので、少ないから優しい訳ではないのです。

弦の数が増えると、豊かなハーモニーを奏でる事ができたり、より自由な発想でメロディーを弾く事が出来るようになります。しかし、6弦でも相当な所まで演奏をすることができます。6弦より弦の多い機種を「多弦」と呼びます。7弦、8弦までが主で、9弦、10弦の機種もまれに見ます。実用性の面から8弦が多弦のスチール・ギターとして使いやすいです。

ペダル・スチール・ギターは10弦が基本のセットアップです。8弦の機種もありますが、10弦の方が入手しやすく、楽譜も出回っているので取り組みやすいです。先にも述べたように、弦の数が少ないからと言って、難易度が下がる事はありませんので、10弦から練習をすれば良いです。11弦、12弦等の多弦もありますが、これはユニバーサル・チューニングを使った機種なので、極端に難しくなります。ユニバーサル・チューニングに関しては後ほど。

ラップ・スチールは6弦がスタートの基準。多弦になっても難易度は然程変わらないので、8弦でも可。ペダル・スチールは10弦一択です。

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ネックの数
スチール・ギターはオープン・チューニングの楽器であり、チューニングによってまったく違ったニュアンスの演奏をすることが出来ます。一度に複数のチューニングを弾く場合は、複数の楽器を用意しなければなりませんが、それを1台にまとめたのが多ネックの機種です。シングルネック、ダブルネック、トリプルネック、クアダブルネックまであります。ネックの数が増えれば、それにともなって楽器の重量は増え持ち運びが困難になります。また、各ネックに配置したチューニングを覚えなければなりません。初心者が始めに取り組む楽器として、多ネックの機種を選ぶ必要はもちろんありません。シングル・ネックをしっかり弾きこなす事ができるようになったら、徐々にチューニングを覚えていけばいいです。

ペダル・スチールに関しては少し事情が異なります。ペダル・スチールは2つのチューニングがあり、これは、楽器を制作する段階で決められており、演奏者が任意に変えることはできません。チューニングはE9とC6であり、写真のようなダブルネックはこの2つのチューニングが配置されています。

シングルネックの機種は、E9かC6のどちらかのチューニングであり、これを変えることは出来ません。従って、シングルネックを購入する時は、予めどちらのチューニングを弾きたいのかを把握していなければなりません。音のニュアンスやフレーズの違い、響きの違い、それぞれのネックに個性がありますので、選ぶのは難しいですね。演奏の難易度だけで言ったら、E9の方が若干簡単です。豊かなハーモニーはC6の方が得意としています。また、シングルネックの方が流通している楽器の数が少ないように感じます。いずれにしろペダル・スチールは高価な楽器なので、初めに覚悟を決めて始めれば良いと言ったように、勢いよくダブルネックを購入するのも路だと思います。

ラップ・スチールはシングル・ネック一択。ペダル・スチールは覚悟を決めてダブル・ネックか、E9のシングル・ネックです。

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チューニング
スチール・ギターはオープン・チューニングの楽器です。チューニングは演奏者が自由に選ぶことができ、長い歴史の中で様々なチューニングが模索され、数々の名演が行われてきました。ラップ・スチール・ギターで使われる基本のチューニングは「C6チューニング」としておきます。C6は伴奏とメロディーの両方の演奏にバランス良く対応できるチューニングであるのと同時に、ペダル・スチールの一方のチューニングにもなっています。他のチューニングへの応用もしやすく、C6でアレンジされた譜面も多くあるので、取り組みやすいと思います。6弦でも8弦でも使う事ができるのも良い所です。始めに覚えるチューニングはC6がお薦めです。

ペダル・スチールは楽器によってチューニングが決まっています。基本のスタイルはE9の方なので、シングルネックならE9のネックから始めたいです。ダブルネックを購入しても、E9から練習すると良いでしょう。C6ネックはラップ・スチールのC6チューニングを応用して弾く事ができます。

ペダル・スチールのE9とC6のダブルネックは、非常に大きく重いですので、気軽に持ち運べるものではありません。しかし、ライブでは2つのチューニングを使い分けたい事が多々あります。そこで、この2つのチューニングを1台のスチール・ギターに組み込んでしまうという開発が行われました。それが「ユニバーサル・チューニング」です。各チューニングの特徴を取り入れ、持ち運びも考慮してシングル・ネックに納めているので、多弦になっています。E9とC6を弾きこなす事ができ、且つ頻繁に持ち運ばなければならない状況に陥らない限り、必要とする事は無いかと思います。

ラップ・スチール・ギターは「C6」から始めるのがお薦め。ペダル・スチールは「E9」一択です。

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ラップ・スチール・ギター
ラップ・スチールに関してもう少し補足しておきます。ペダルの付いていない物を全てラップ・スチールとしていますが、ラップ・スチールの中でも細かく種類が分かれると思うので、楽器選びの基準を解説しておきます。最も大きな基準は、脚が付いてるか否かです。脚の付いてるものを「コンソール・タイプ」と呼びます。脚を取り付けるためには、ボディー裏にマウントを付けなければならないので、必然的にボディーの厚みが生まれますので、楽器の響きも足の無いタイプよりは豊かになる傾向があります。また、脚を付けて自立させることで、演奏面においても有利に働きます。手のフォームが整いやすく、楽器が安定して弾きやすくなります。膝置きの場合は、どうしても手首が下がってしまうので、演奏に慣れていないと悪いフォームになってしまいがちです。従って、コンソール・タイプの方が初心者には向いています。脚の数は3本と4本のタイプがあります。4本タイプの方が安定感はありますが、どちらでも問題ありません。脚の付いていない楽器は、スチール・ギター専用のスタンドや適度な台に置いて弾く事をお薦めします。

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楽器を選ぶ基準
スチール・ギターの基本的な分類は分かってもらえましたでしょうか。楽器を選ぶ基準として、まず値段ですね。他の楽器と同様にピンキリになりますが、値段は楽器性能に比例していますので、高いに越したことはないです。あまり安い楽器は演奏そのものが難しいのも他の楽器と同じです。

ラップ・スチールで始めに選ぶのにお薦め条件は、「国産メーカー」「コンソール・タイプ」「6弦で5万円以上」辺りの楽器を目指して見て下さい。中古市場になると、モノの割に安くなっている楽器もありますが、状態を見極めるのは難しいですね。パーツが綺麗か、塗装がしっかりしているか、脚の欠品がないか等を良く見て選んで下さい。

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ペダル・スチールの見極めは更に難しいと思います。楽器の状態は実際にペダルを踏んでみないと分からない事が多いです。ペダルの重さや踏み心地は機種によって異なりますし、レバーの配置等も結構違います。ぺダル・スチールは、好みのレバー配置をオーダー・メイドで作るのが基本です。ある程度以上経験が無いとオーダーを出すのは難しいですので、また別の記事でペダル・スチールの事について解説したいと思います。

楽器の購入に関してご相談がございましたら、当HPのお問い合わせよりメールを下さい。出来る限りのアドバイスを致しますのでお気軽にご連絡下さい。自分に合った良い楽器が見つかるといいですね。

金髪せんせー

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FUZZY SUPERB ハイブリッド・ペダルスチール

FUZZY SUPERB

E9チューニングとC6チューニングのハイブリッドを実現する高性能ペダル・スチール・ギターを紹介したいと思います。

このスチールギターは、ペダルスチールのダブルネックで使われる、E9とC6の2つのチューニングを、1台のスチールギターに集約するように作られたギターです。E9とC6のチューニングにはそれぞれ特徴があるのですが、それをシングルサイズのギターで同時に弾くことができるようになっています。ダブルネックのスチールギターは、どうしても物理的に大きくなってしまうので、ライブやリハーサルに頻繁に持ち運びをするのはとても大変です。そこで、2本分のネックを1本にまとめてコンパクトに持ち運びしやすくしようとしたわけです。

ダブルネックと比べると、大きさの違いがよく分かります。キーレスということもあって、重さも大分軽くなっています。

E9とC6を1台にまとめると言っても、全く同じ状態で1つのチューニングにする事は出来ないので、各ネックで共通するペダルの配置や、隣り合った弦の相対関係を演奏に大きく影響しない範囲で組み替えて1台にまとめています。弦の配置やペダルやレバーの位置はそれぞれのチューニングで弾いているのとは違いますので、新たに新しいチューニングを覚えるつもりで取り組まないといけないですね。

下の写真のレバーで、全体のチューニングを変更することができるようになっていて、E9とC6を切り替えています。チューニングやセッティングはちょっと大変ですが、ハイブリッドを実現するとてもいい機能です。

10弦2本分を1台にするので、弦の数はどうしても増えてしまいます。これは12弦の機種になっています。C6の10弦は結構太い弦を張ってありますし、E9と共通して使うことのできない弦のために、2本の弦を追加して12本になってます。

2つのチューニングを1つにまとめるのに、ユニバーサルチューニングというチューニングがあります。ユニバーサルチューニングはチューニングを切り替えることなく、各チューニングのフレーズを弾くことができるようになっています。

これは一つの例ですが、開放弦のチューニングはこのようになっているので、コードポジションやフレットと音程の関係がE9ともC6とも違います。ポジションは覚えなければいけないので、難しいですが、2つのチューニングの特徴を同時に鳴らすことができるので、曲中でそれぞれのニュアンスを弾くことができたり、表現の範囲は広がります。ユニバーサルチューニングについてはまた別で紹介したいと思います。

E9は低音部に追加弦が多く張ってあります。高音部から換算すると、E9の感覚で弾くことができますが、9弦の7th弦や7弦の9thが無いチューニングも多いので、ハーモニーを弾く感覚が少し違う感じがします。普段レバーで捜査している音がペダルに置き換わったり、ペダルの配置が違ったりするので、慣れないと難しいですね。

C6チューニングは、シングルのチューニングのまま弾いている感じがしますね。ボトムから10弦分配置されていて、上の2本が追加されている感じですので、とても弾きやすいです。レバーの配置に慣れるには少し練習しないといけないです。

とても機能的に作られていますが、演奏するのはちょっと難しいですね。まず、弦が増えた分だけ難しくなっているので、それぞれのチューニングの特徴を理解して弾かないと、楽器の性能を活かすことができないような気がします。特にE9の配置の違いや、低音弦の活用の仕方をよく考えながら弾きたいです。C6の方は、1弦と2弦の分だけフレーズの幅を広げられるのでいい気はします。

チューニングも少し大変ですが、非常に安定感があってとてもよく作られている楽器と思います。

ペダルスチールを頻繁に持ち運びしなければならなくて、かつ、2つのチューニングの特徴を存分に使い分けする人にとっては、重宝する逸品だと思います。
初心者の方にはちょっと扱いが難しい楽器かもしれません。

金髪先生

スチールギター用エフェクター Goodrich MODEL 7A

 ペダル・スチールやラップ・スチールで使われる専用のエフェクター「Goodrich MODEL 7A MATCH BOX」について詳しく見てみましょう。

MODEL 7A
スチール・ギターのエフェクターは、通常のエレキ・ギター用のモノが使われていますが、「MODEL 7A」はスチール・ギター用として作られています。本体表面に「SUPER SUSTAIN」と記されており、TONEとGAINのつまみがあるので、バッファー・アンプやブースターの類と思っておけば良いでしょう。まず本体を良く見てみましょう。

本体上部には、INジャックと電源スイッチが付いています。写真の左側には電源ON時に点灯するパイロットランプが付いていますが、これは私がモディファイしたものなので、通常は付いていません。電源のON/OFFはスイッチを目視で確認しなければなりません。

本体上部

本体下部には、OUTジャックが付いています。ジャックの右側にAC電源用のコネクターが付いていますが、これもモディファイですので、通常は付いていません。このOUTジャックはスイッチングになっています。シールドを差すことによって通電しますが、通常のエフェクターはINPUTがスイッチングになっていることが多いですので注意しておきましょう。

本体表面には「TONE」と「GAIN」のつまみが付いています。それぞれ0~10のメモリが付いています。

本体側部にスチールギターの足にセットできるアタッチメントが付いており、演奏中にもつまみを調整できるようになっています。この辺りはスチールギター用のエフェクターならではの作りですね。

TONEコントロール
「TONE」のつまみは上げると音質が変化します。ギター本体のトーン・コントロールはトレブル・カットするパッシブ回路ですが、これは高音成分がブーストされるので、アクティブ・トーンコントロール回路でトレブル・ブーストしているものと思われます。音の抜け具合が相当変わるので、たしかに手元でコントロールできるとライブでのリアルタイム調整に便利です。

GAINコントロール
「GAIN」のつまみは上げていくと出力が変わっていきます。これも思ったより変化が大きいですね。アンプのセッティングによっては歪んでしまうレベルですが、つまみが大きいので、微妙なセッティングもできて使いやすいです。

電源
上下に付けられたネジを外すと本体を空ける事ができます。中を見ると電池が2つ入っているのが解ると思います。この電池2つで駆動しています。9v電池が2つシリーズ接続されていますので、これをバラしてACアダプター(18V)のコネクターを付けています。

分析
回路を見てみましょう。TONEコントロールのつまみはクラロスタット製の可変抵抗500KΩが付いています。「クラロスタット」は高い品質で海外でも支持の高いメーカーで、ワウペダルのポット等にも多く使われていますね。これだけ見ても良いパーツで作られているのが解ります。

GAINコントロールのつまみも同じくクラロスタット製。INジャック、OUTジャックは共にスイッチクラフトのボックスタイプ、OUTがスイッチングになっています。

基盤を見てみます。オペアンプが1つと、トランジスタが1石ついています。オペアンプは音質に評判の良い「ON Semicoductor製 MC33171P」です。

トランジスタは「MPS A18」ですね。Fairchildでしょうか、電流増幅率の高いタイプの石で、音質も良く、エフェクターに多く使われているパーツです。

実際に音を確認してみましょう

まとめ
スチール・ギター用のエフェクターは数少ないですが、MODEL7Aは作りといい音質といいとても良く出来ていると思います。なにしろ手元でコントロールできる使いやすさは、さすが専用エフェクターといったところです。個人的にはパイロットランプとAC電源はあった方がいいと思いますが、もちろん無くても充分です。通しただけで音質が艶っぽくなる感じは良いですね。スチール・サウンドにぴったりのクリーン・ブースターですので、一度試してみてはいかがでしょう。

金髪せんせー

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C6チューニング

C6thペダルスチール チューニング
C6th Pedal Steel Guitar Copedent
ペダルスチールのチューニングとペダル、ニーレバーの動作を合わせて見てみます。ここでは、一般的に使われているチューニングを元にしていますが、C6チューニングのペダルには、かなりバラつきがあるので、私の所有しているモノをベースに書いています。ペダルスチールのチューニングはギター本体のつくりに依存しています。ペダルの配置や動作させる弦、音程等は、ギターを設計する段階で決められているので、簡単に自分で変えることの出来るものではありません。自分好みのチューニングにしたければ、オーダーメイドで作らなければならないということになりますので、注意しておきましょう。また、本頁では、C6thチューニングを扱っています。E9チューニングに関しては こちら→E9チューニング

左に記したのが開放弦の音程です。続いて各レバーとペダルを操作した時の音程を表しています。4=4番ペダル、5=5番ペダル~です。

4番ペダルを操作すると、4弦と8弦の音程がA音からB音(1音上がる)になります。

5番ペダルを操作すると、5弦が半音下がってF#音に、9弦が半音上がってF#音になります。

6番ペダルを操作すると2弦が半音上がってF音に、6弦が半音下がってD#音(=Eb音)になります。

7番ペダルを操作すると3弦が1音上がってC音がD音に、4弦も1音上がってA音がB音になります。

8番ペダルは7弦をC#音に、9弦をE音に、10弦は1音半下がってA音にします。低音弦を下げるのを使った演奏や音のニュアンスから「Boo-Wah Pedal」等とも呼ばれています。

レバーに関しては機種によって違いがあるので、自分の持っているギターでどう音程が変化しているのか確認してみてください。

開放弦のチューニングに関してはこちらで詳しく解説しています→開放弦のチューニング

C6thチューニングで大事なのは、5番ペダル、6番ペダル、7番ペダルです。この3つはどのペダルスチールでも大体付いており、良く使われるペダルになっています。レバーで大事なのは3弦を半音下げてB音にするレバーです。RKLではない位置についている事もありますが、大体どの機種にもこのレバーはついており、良く使われるものになります。自分の持っているギターのチューニングを上のように表で作っておくと良いでしょう。

金髪先生

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E9チューニング

E9thペダルスチール チューニング
E9th Pedal Steel Guitar Copedent
ペダルスチールのチューニングとペダル、ニーレバーの動作を合わせて見てみます。ここでは、一般的に使われているチューニングを取り上げています。ペダルスチールのチューニングはギター本体のつくりに依存しています。ペダルの配置や動作させる弦、音程等は、ギターを設計する段階で決められているので、簡単に自分で変えることの出来るものではありません。自分好みのチューニングにしたければ、オーダーメイドで作らなければならないということになりますので、注意しておきましょう。また、本頁では、E9thチューニングを扱っています。C6チューニングに関しては こちら→C6チューニング

左に記したのが開放弦の音程です。続いて各レバーとペダルを操作した時の音程を表しています。A=Aペダル、B=Bペダル、C=Cペダルです。

Aペダルを操作すると、5弦と10弦の音程がBからC#(1音上がる)になります。

Bペダルを操作すると、3弦と6弦が半音上がって、G#がAになります。

Cペダルを操作すると、4弦と5弦が1音上がり、4弦はEがF#に5弦はBがC#になります。5弦が1音上がるというのは、Aペダルを踏んだときと同じですね。

LKRを操作すると4弦と8弦の音程が半音下がって、開放弦のE音がD#音になります。ニーレバーの中で最も大事なレバーで、どのペダルスチールにも必ずこのレバーが優先的に付けられています。

LKLはLKRと逆に4弦と8弦の音程が半音上がります。

RKLは2弦と7弦のF#音を半音上げてG音にします。このレバーは違う配置になっていたり、付いていなかったり、機種によってさまざまです。

RKRの2弦は、2段階で操作できるようになっているものです。半音下がった所で一旦止まり、更に押し込むようにレバーを右に操作すると更に半音下がるというものです。

開放弦のチューニングに関してはこちらで詳しく解説しています→開放弦のチューニング

A~Cペダルは大体どの機種でもこの配置になっています。レバーは機種によって違いが結構あるので、自分の持っているギターのチューニングを上のように表で作っておくと良いでしょう。

金髪せんせー

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ペダルスチールの組み立て方

ペダルスチールギターの組み立て方
Pedal Steel Guitar Assembly Tutorial

ペダルスチールの組み立て方を見てみましょう。ペダルスチールには幾つかの種類がありますが、大体どれも同じ要領で組み立てることが出来ます。ペダルスチールの組み立て方を見てみましょう。

ペダルスチールの部品
まずは、ペダルスチールの部品を見てみましょう。ペダルスチールは本体にネック、ヘッド、チェンジャー等が付いていますが、足、ペダル、ロッドは取り外しができるようになっています。ケースに収納する場合や、持ち運び時には、足やペダルを外しますので、ケースを開けた状態は下の写真のようになっています。ケースに入った本体、4本の足、ペダル、ペダルの数に相応するロッドをまず確認しておきましょう。

足をつける
まずは、足を付けます。本体はケースに裏側に入った状態のまま、4つの足を付けます。ペダルを取り付ける足と、手前側の足は、形状の異なるものもありますので、付ける位置に注意しましょう。ペダルを付ける足を奥に取り付けます。4本の足を全て付けます。気長にクルクル回して取り付けましょう。


4本の足を取り付けました。

ペダルをつける
足がついたらペダルを取り付けます。ペダルを取り付ける方式は機種によって違いますが、奥の足2本に固定できるようになっています。ワンタッチではめ込むモノや、ここで取り上げているようなネジで固定するものがあります。ペダルの踏む面が下になるようにして、向かって右側にAペダルが位置するように取り付けます。本体はひっくり返っているので向きに注意して下さい。


向きに注意して下さい。ヘッド側にペダルが寄るようにします。

これは、足に取り付け用の穴が空いており、ペダルボードについたネジで足に固定します。ペダルの向きに注意して取り付けましょう。この時点ではペダルはボードにプラプラ垂れ下がっていてOKです。

ペダルボードが足に取り付け終わりました。ペダルはぶら下がってます。

ロッドをつける
次にペダルにロッドを付けます。ロッドは、長さの調整があるので、個別に番号が付いています。もしロッドに番号が付いていなかったら、番号シールを貼るなどして番号を付けておき、毎回同じロッドを同じペダルにつけるようにします。

ロッドの先は引っ掛けられるようにフックのように形成されています。これを本体のロッドを取り付ける穴に挿します。指す向きに注意しなければなりません。下の写真のように奥から手前に向かって引っ掛けるようにします。


ロッドが手前に倒れた状態で引っ掛ける事がポイントです。

取り付け穴に奥から引っ掛けます。

ロッドを穴に引っ掛けた所です。

ロッドを穴に引っ掛けて、起こします。

ロッドをペダルに固定
ロッドをペダルに固定します。ペダルへの取り付け方法も機種によって若干違いがありますが、どれも、ペダルに取り付け用のブッシュがついており、差し込んでロックするようなものになっています。今回取り上げたものは、差し込むと自動でロックがかかるようにブッシュにベアリングがついています。該当するペダルにロッドを取り付けましょう。

このロッドは、奥まで差し込むとロックされます。

取り付けが完了しました。

ケースから出す
足、ペダル、ロッドの取り付けが出来たら、いよいよケースから出します。ケースから出す際には、以下のようにまず、対角線上の2本の足持ちます。必ず対角線に持たなければバランスが取れずに持ち上げる事が出来ませんので、よーく注意しましょう。足は根元を持ちます。根元を持たなければ力が入らないのでこれもよーく注意しておきましょう。

持ち上げる時、ギターの足を外側から持つようにします。左手前の足を巻き込むように外側から持ちます。

足を持って一旦持ち上げます。腰には充分注意して立ち上がりましょう。腰を入れていないとギックリしますのでよーく注意して下さい。

ペダル面が手前に来るように半回転させます。

ペダルボード側から置きます。ゆっくりね。

置いて完成です。このまま移動させる時も、このように対角線で足の根元を持ちます。本体は持たずに、常に足を持つということを忘れずにしましょう。

ケースに戻すときは、これとまったく逆の事をします。ポイントは以下の3つ。
1-足の付け根を対角線で持つ。
2-足は外側から巻き込むように持つ。
3-ペダルボード側から持つ
ということになります。
ペダルスチールは結構重量があります。腰を痛めないように注意しましょう。

金髪先生

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ペダルスチールとボリュームペダル

ペダルスチールとボリュームペダル
Pedal Steel Guitar with Volume Pedal
ペダルスチール・ギターの演奏にはボリューム・ペダルが不可欠になります。ラップ・スチールにはギター本体にボリュームがついているものが殆どですが、ペダルスチールの大半は、ボリュームは付いていなです。仮にボリュームが付いていても、演奏中にコントロールするものではなく、ボリューム操作は全てペダルで行っています。ペダル・スチールに欠かせないボリューム・ペダルについて見てみましょう。

ペダルスチールに使われるボリューム・ペダル
ペダルスチールに使われるボリュームペダルは、通常のギターで使われるものと若干違いがあります。それは、ボリューム・ペダルを設置する場所に違いがあるためです。通常のエレキ・ギターでボリューム・ペダルを使用する際には、ペダルを設置する場所に制限はありません。エフェクター・ボードの中や、ステージ上での足元など、好きな所に置いておけばいいです。しかし、ペダル・スチールはそうはいきません。座って弾いている上、ペダル操作をしなければならないので、足の位置が固定されています。従って、ボリューム・ペダルを置く位置が決まっています。ヴォリュームペダルは右足でこのように操作します。

ペダル・スチールで使用するボリューム・ペダルは、下の写真の位置になります。ボリュームは右足で操作します。右足は、RKLとRKRのレバー操作も平行に行うので、常にレバーの間に足を構えておかなければなりません。よって、下の写真のように、RKLとRKRのレバーの間に設置することになります。

ボリューム・ペダルの構造
このようにボリューム・ペダルを右足に設置すると、ペダル・バーにボリューム・ペダルが接近することが解ると思います。このペダル・バーの位置関係から、通常のエレキギターで多く使われているフロント部分にケーブルを挿すタイプのモノは、ケーブルが邪魔になります。そこで、ペダル・スチール用のボリューム・ペダルは、ケーブルを横から挿す構造になっているのです。ケーブルを横から挿せば、ジャック部分がペダル・ボードの邪魔にならないですね。これがペダル・スチール用のボリューム・ペダルになります。

代表的なボリューム・ペダル
ペダル・スチール・ギターでよく使われているボリューム・ペダルを見てみましょう。スチールギター本体でもお馴染みのメーカー「Sho-Bud」のボリュームペダルは、大きなペダルで軽い操作性、スムーズなボリューム・コントロールができる一品です。ギター本体も名機であることから解るように、とても使いやすいペダルです。写真のタイプは「1IN 1OUT」の標準的なモデルです。

Goodrichのペダルも良く使われております。現行品としても新しいモデルが販売されているので入手しやすいですね。下の写真のモデルは、「1In 2OUT」のModel120です。このような2OUTのモデルは、一つをアンプへの通常アウト、一つをチューナー・アウトとして使用するようになっています。昨今の高性能なチューナーにはTrueBypassの仕様が多いので、直結でもあまり問題はないでしょうが、並列でチューナー・アウトが付いているのも便利ですね。

駆動方式による違い
これらのボリューム・ペダルは、ペダル内にある可変抵抗をペダル操作でコントロールできるようになっています。そして、よりスムーズな操作が求められるペダル・スチールでは、可変抵抗を「紐」で動かすモノが好まれます。昨今の通常のペダルの多くはギヤ式なのですが、紐で動かすことにより、よりスムーズなボリューム操作が出来るわけです。物理的にはギヤ式の方がメンテも少なく長持ちしますし取り扱いも楽です。ギヤ式は、ギヤの位置を変えることで、可変具合を変えることも簡単に出来ますが、紐はそう簡単に変えることはできません。お値段も少し高くなるので、よく考えて選んで下さい。

▲紐で可変抵抗器を動かすタイプ
▲ギヤで動かすタイプ

金髪先生

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ニーレバーの役割

ペダルスチール ニーレバーの役割

ペダルスチール・ギターにはいくつものペダルとニー・レバーが付いています。これらニーレバーは特定の弦の音程を変化させることができますが、具体的にどうなっているのかは分りづらいものです。レバーが、何弦にどのように作用するのかを見てみましょう。

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ニーレバーの役割
ペダルスチールのニー・レバーがどの弦にどよのように作用するかは、楽器を制作する前、設計する時に、既に決められています。従って、これを使用者が自由に変更することはできません。ペダルスチールは、チューニングも決められており、チューニングに合わせてニー・レバーが取り付けられています。E9thチューニングでは2~4本のレバーが付けられており、C6チューニングでは2~5本付いているのが一般的です。各レバーが作用する弦は1本~2本です。

ニーレバーの名称
レバーの呼び方はレバーの位置によって以下のように分けられています。

左足の左側のレバー→LKL

左足の右側のレバー→LKR

右足の左側のレバー→RKL

右足の右側のレバー→RKR

LとRで位置を表し、Kは「Knee」の頭文字です。楽譜に表記する際には、スッキリ記譜する為に「LKL→D」、「LKR→E」、「RKL→F」、「RKR→G」としたりします。これは、楽譜や使うギターによっても違うので、通常あらかじめ書き方とチューニングを譜面に表記しておきます。LKLが「D」から始まるのは、E9thのフロア・ペダルがA~Cまである都合です。

大事な2レバー
E9thチューニングで大事な2つのレバーがLKLとLKRです。2レバーのギターの場合、右側についているタイプももあります。右側についているタイプは、LKL=RKR、LKR=RKLになります。これは8弦と4弦の音程を変えるレバーで、LKRが半音下げる、LKLが半音上げることになります。8弦と4弦はどちらもE音ですので、LKRがE音をEb音に、LKLがE音をF音に変えることになります。

4レバータイプのペダルスチールでも、RKLやRKRは機種によって作用する弦が異なりますが、LKLとLKRは必ずこの組み合わせでセットされています。それだけペダルスチールにとって、この2本のレバーはとても大事なものになりますので、ここでは、この2本のレバーについて見ていきます。

LKLの主な使い方
LKLは8弦と4弦を半音上げるレバーです。ではこれを実際にどう使うのかを見てみましょう。バーを8フレットに置いて考えます。バーが8フレットなので、ペダル操作の無い状態ではCコードのポジションです。4弦と8弦はC音なので、LKLを操作することでC音がC#になります。コードポジションである3弦から6弦、8弦、10弦を見るとGEC#の音程になります。これはコードA7のコードトーンであることが分ります。

8フレット 操作  操作後の音程 A7コード
1弦 D      
2弦 B      
3弦 E     E
4弦 C →LKL C# C#
5弦 G     G
6弦 E     E
7弦 D      
8弦 C →LKL C# C#
9弦 Bb      
10弦 G     G

しかし、これではルート音であるA音は入ってないですね。そこで、Aペダルを併用してみましょう。Aペダルは5弦を1音上げるので、G音がA音になります。LKLとAペダルを同時に踏むとコードAになりますね。

8フレット 操作  操作後の音程 Aコード
1弦 D      
2弦 B      
3弦 E     E
4弦 C →LKL C# C#
5弦 G →Aペダル A A
6弦 E     E
7弦 D      
8弦 C →LKL C# C#
9弦 Bb      
10弦 G →Aペダル  A A

LKRの主な使い方
LKRは8弦と4弦を半音下げるレバーです。8フレットで音程を見てみましょう。8弦と4弦のC音がB音になり、9弦を除く全ての音がBEGDとEm7コードのコード・トーンになることがわかります。LKRを単体でそうさするとIIIm7になることがわかりますね。

8フレット 操作 操作後の音程 Em7コード
1弦 D     D
2弦 B     B
3弦 E     E
4弦 C →LKR B B
5弦 G     G
6弦 E     E
7弦 D     D
8弦 C →LKR B B
9弦 Bb      
10弦 G     G

では更にBペダルを同時に加えてみましょう。Bペダルは3弦と6弦の音程を半音上げるペダルです。8フレットではE音がF音になります。LKRとBペダルを同時に踏むと「GDBF」の音程を8フレットで得ることができます。G7コードですね。

8フレット 操作 操作後の音程 G7コード
1弦 D     D
2弦 B     B
3弦 E →Bペダル F F
4弦 C →LKR B B
5弦 G     G
6弦 E →Bペダル  F F
7弦 D     D
8弦 C →LKR B B
9弦 Bb      
10弦 G     G

まとめ
ペダルスチールのレバーはLKLとLKRの2レバーが基本になります。LKLは「VI7」、Aペダルと組み合わせて「VIメジャー」のコードになります。LKRは「IIIm」Bペダルと組み合わせて「V7」のコードになります。レバーとペダルを組み合わせることでコード・トーンを構成させることになります。実際にフレーズに活かせるようにするために、組み合わせ方と各コードネームをしっかり覚えておきましょう。

金髪せんせー

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チェンジャーで音程が変わる仕組み Pull Release

ペダルスチール チェンジャーで音程が変わる仕組み Pull Release

ペダルスチールは特定の弦だけ音程を変える事ができます。では、どのように音程が変えているのか、その仕組みをみてみましょう。仕組みを理解することで、チューニングやセッティングを自分でする事ができるようになります。楽器を演奏する上で、楽器の仕組みを知ることはとても大事なことです。ここでは、ペダルやレバー操作によるチェンジャーの基本的な仕組みを見てみましょう。

※ペダルスチールのチャンジャーには、幾つかの方式があります。ここでは、基本的な仕組みであるPull Releaseについてのみ解説しており、PushPull等の方式については別ページにて解説していきます

チェンジャーの構造
ペダルスチールには、弦1本に付き1つのコマが付いています。ストラトのようなエレキギターと同様に、弦の数だけコマが付いており、各コマをかえして弦が張られています。通常ラップスチールには各弦のコマはなく、1本のバー上のサドルに全ての弦が乗っています。従って、単独の弦を調整する事はできません。

▲各弦に1つのコマが付いている

コマは下の図のようになっています。ボールエンドにより弦がコマに固定され、コマはブリッジに設置されており、ギター本体の下部へ向かってシャフト等が付けられるように足が付いています。

コマについて
コマは可動式になっています。中央の丸い穴を軸に可変するのですが、ペダル操作の無い状態で安定しています。コマは、弦のテンションにより左側へ引張られていますが、コマに付けられたバネやペダルからのシャフトにより安定しています。バネはチェンジャーの方式により、コマに付けられておらず、ペダル部に付けられているものもあります。また、コマの右側に取り付けられたネジで、コマが動かないように位置が制御されています。バネの張力は、ペダル操作によりコマが開放された時、コマを元に戻す働きもしています。

▲下部の白い突起群がネジです。

ペダル操作により音程を上げる
ペダル操作をすることで、コマに取り付けられたシャフトにより下部が引張られ、コマが傾きます。弦はボールエンドによりコマに固定されているわけですから、弦は右側に引張られて音程が上がります。弦の張力を変えるという点で、エレキギターのチョーキングと同じ原理と言えますね。ペダルを開放すると、弦のテンションによりコマは元に戻り、音程も元に戻ります。

ペダル操作により音程を下げる
ペダル操作による音程を下げる動作は、シャフトが右に動くことで、シャフトに突っかかっていたコマが開放され、弦のテンションによってコマが左側へ傾くことで弦のテンションが緩み音程が下がります。コマの傾き具合は右側に付けられたネジで調整できるので、これにより音程を決めることができます。ペダルはコマの制限を開放しているだけで、コマを動かしているのは弦の力によるものとなります。この音程を下げる動作がPushPullやAllPull方式と大きな違いで、コマの動作はあくまで弦のテンションによりもたらされ、ペダル操作によって動作しているわけではないです。ペダルを開放すると、シャフトの右端に付けられた突起によりコマが左へ引張られたり、コマに付けられたバネの張力によって元の位置に戻ります。

各動作に分けて解説しましたが、コマにはこれらの部品全てが所狭しと取り付けられています。音程を上げるシャフト、音程を下げるシャフト、バネ、コマの動作を制御し音程を決めるネジ、また、ボールエンドを固定する突起やくぼみ等です。音程を上げる際には、実際にペダルでコマを引張るわけですから、梃子の掛りやすい下部にシャフトが付けられています。音程変化を調整する為に、コマには3つのシャフトを取り付けられるようになっているのが多いです。

ここで取り上げたチェンジャーは最もシンプルなタイプの動作になります。シャフトで引張ることにより音程を上げ、シャフトを押すことによりコマがリリースされるので、「Pull Release」と呼ばれる方式になります。チェンジャーはより複雑で安定感のあるチューニングや動作を求め、様々な方式が開発されていますが、基本的なコマの動き方はこれを応用しているので、まずは、この基本原理をしっかり覚えておきましょう。

金髪先生

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ペダルの役割C6チューニング

ペダルスチール ペダルの役割 C6

ペダルスチール・ギターにはいくつものペダルとニー・レバーが付いています。これらのペダルは特定の弦の音程を変化させることができますが、具体的にどうなっているのかは分りづらいものです。ペダルやレバーが、何弦にどのように作用するのかを見てみましょう。

※ここでは、C6チューニングでのペダル動作について見ていきます。1弦はG音にしていますが、D音にチューニングする方法も多く使われています。

E9のペダルについてはこちら→ペダルスチール ペダルの役割 E9

ペダルの役割
ペダルスチールのペダルやニー・レバーがどの弦にどよのように作用するかは、楽器を制作する前、設計する時に、既に決められています。従って、これを使用者が自由に変更することはできません。ペダルスチールは、チューニングも決められており、チューニングに合わせてペダルやニーレバーが取り付けられています。

ここでは、C6thチューニング、10弦、5ペダル、2レバー、の楽器を見てみます。これは、8弦のペダルスチールでも使われているチューニングであり、ダブルネックの手前側のチューニングでもあります。

ペダルやニーレバーの数は機種によって異なります。また、使用するプレイヤーによって特注で作られているものも多いので、できるだけ一般的な仕様とキモになる部分を取り上げてみてみましょう。

フロアに取り付けられてペダルをそれぞれ4番~8番ペダルと呼びます。ダブルネックのギターでは左にE9th用のペダルがA~Cの3つ取り付けられているため、4番から数を数えます。シングルネックのタイプでは、左の3つはありませんが、ここではダブルネックを想定してこのように呼ぶことにします。

ペダルを踏み込む事でシャフトを動かし、ブリッジのコマにあたるチェンジャーを動かして弦の音程を変えます。「踏み込む」という動きはシャフトを「引っ張る」事になるので、弦を「引っ張る」事になります。よって、ペダルは”基本的には”音程を「上げる」操作をします。チェンジャーの方式によって、シャフトを引張ることで音程を下げるPull方式と、シャフトを押すPush方式のペダルもあります。一つのペダルで複数の弦を同時に変化させる事ができます。

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▲ペダルと連動するようにシャフトが取り付けられています。

5番ペダル
左から2番目に取り付けられた「5番ペダル」を見てみましょう。C6のペダルでよく使われるペダルの一つです。5番ペダルにあてがわれた一般的なセットアップの弦は、「1弦、5弦、9弦、10弦」です。しかし、機種によっては、1弦以外の3本であったり、10弦は無かったり、4弦も追加されていたりします。要するに、キモになる所は5弦と9弦になり、仮に5番ではないとしても、この2本がアサインされているペダルが必ずあると思っておきましょう。

具体的な役目を見てみます。5番ペダルは5弦を半音下げ、9弦を半音上げます。1弦は半音上げ、10弦は1音上げます。

1弦 G G#
2弦 E   E
3弦 C   C
4弦 A   A
5弦 G F#
6弦 E   E
7弦 C   C
8弦 A   A
9弦 F F#
10弦 C D

これだけ考えると解りずらいですが、これは、2フレット下の7thコードを完全な形にするものと考えると納得がいきます。例えば12フレットのCコードを見てみます。12フレットにバーがいる状態ではCコードを鳴らす事ができますね。C7コードを弾きたい場合、バーを10フレットに移動させますが、この時、同時に5番ペダルを踏むと、10フレットの音程が「Gb、D、Bb、G、E、D、Bb、G、E、C」となります。1弦のb5thを除くと、C9thのコード・トーンになっている事がわかります。

このように5番ペダルは7thコードを鳴らすことができるのが解ると思います。以下が5番を踏んだ時の10フレットの音程です。

1弦 Gb
2弦
3弦 Bb
4弦
5弦
6弦
7弦 Bb
8弦
9弦
10弦

6番ペダル
次に6番ペダルを見てみましょう。6番は2弦と6弦に作用します。6番も多く用いられ、他の弦が追加されるようなことは無く、2弦と6弦のペダルとしてセットされています。2弦は半音上げ、6弦は半音下がりますが、具体的な音の配列がどうなるのかを見てみましょう。

1弦 G   G
2弦 E  →
3弦 C   C
4弦 A   A
5弦 G   G
6弦 E  → Eb
7弦 C   C
8弦 A   A
9弦 F   F
10弦 C   C

6番を踏んだ時に作用する弦と音程の関係は上の表にに記したとおりです。ペダルを踏んだ状態でF9thのコードになるのが一目見て解るので、ペダルの解釈もしやすいですね。12フレットで言うとノンペダルでコードC、ペダルを踏むとサブドミナントのF、6弦に7thのEb音が配置されているため、7thへの対応もしやすいということになります。

6番ペダルを踏んだ時の12フレットの音程です。

1弦
2弦
3弦
4弦
5弦
6弦 Eb
7弦
8弦
9弦
10弦

7番ペダル
7番ペダルを見てみましょう。7番ペダルは3弦と4弦に同時に作用します。このペダルも、このセットで用いられることが多いペダルです。ペダルを踏むことでIIIm7のコードトーンになり、ボトムのC音を加えてCmaj9コードへ変わります。また、ペダル操作を交えて単音を弾くことで、メジャースケールの音を1ポジションで網羅することもできるので、メロディー・プレイでの使用も多いペダルであると言えます。

1弦 G  
2弦 E  
3弦 C
4弦 A
5弦 G  
6弦 E  
7弦 C  
8弦 A  
9弦 F  
10弦 C  

5番+6番ぺダル
5番ペダルと6番ペダルを同時に踏んでみましょう。以下のようになりますが、3弦から9弦の音に注目して見ます。音程を検証すると、Cdimのコード・トーンになっているのが解ります。ディミニッシュを1発で鳴らすことはラップ・スチールではできないですが、ペダルではこのように綺麗にディミニッシュを鳴らす事ができます。ペダルならではのトーンはこのように作られているわけです。

1弦 G G#
2弦 E
3弦 C  
4弦 A  
5弦 G Gb
6弦 E Eb
7弦 C  
8弦 A  
9弦 F Gb
10弦 C D

C6ペダルのチューニングチャート
チューニングチャートをみて、ペダル動作についてよく覚えておきましょう。ここに記しているものは、よく使われているものの一例です。楽器によって、ペダルの配置は違うので自分のギターのチューニングは良く確認しておきましょう。
※5~7番のチューニングが大事な所です。これと違うペダルの配置になっているものも多くあります。

C6チューニングはE9に比べ、テンションの豊富な豊かな響きの和音を鳴らすのに適しているということが伺えます。Jazz等で使われる際にはC6の豊かなコードの響きが活きてきますね。7thを活かしてカントリー系のプレイでも使う事ができます。C6の特徴を存分に発揮して、コードをふんだんに使ったプレイで、広がりのあるプレイを目指してみましょう。

金髪先生

E9のペダルについてはこちら→ペダルスチール ペダルの役割 E9

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