スチールギターについて

スチールギターについて
スチールギターと呼ばれる楽器があります。どんな楽器なのでしょうか?スチールギターの弾き方や、スチールギターのコード、スチールギターの特徴について順次解説していきたいと思います。

スチールギターとは
スチールギターは、ギターを横に寝かせたような格好をしています。ギターを横に寝かせて弾いた所から、このような形をしています。弦の数は、通常のギターと同じ6本弦を初め、8弦、10弦があります。特殊なものとして、7弦や9弦、11弦、12弦もあります。通常のギターと同様にエレキ仕様とアコースティック仕様があります。エレキはアンプを使って音を鳴らし、エフェクターを使うこともできます。

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guyaヘッド

▲スタンドで立っているスチール・ギター

 

▲こちらは10弦です。

 

スチールギターの弾き方
スチールギターは、押弦をしません。左手に持ったバーで弦長をコントロールします。ボトル・ネック奏法と同じ要領です。使うバーは、ボトルネックのような軽いものではなく、鉄の塊を棒状にした重いバーを使います。バーが重いとサスティンのあるハリのある良い音がします。バーが軽いと音の伸びは少なく、低音感のないペラペラの音になりますが、細かいフレーズ回しができるようになります。

▲色々なバーがあります。

右手はサム・ピックとフィンガー・ピックつけて弾きます。左手にバーを持つ事を前提としているため、弦のテンション(張力)が通常のギターに比べて強くなっています。押弦の必要がないことと、テンションが強い方が音の伸びが良い為、太い弦を張って、張力を稼いでいます。弦の張りがキツイ為、指ではじくと弦の強さに負けて、綺麗な音を鳴らす事ができません。通常のフラット・ピックでは、手首の角度がおかしくなり、弾きにくくなります。そのため、スチールギターはサム・ピックとフィンガー・ピックで弾きます。

スチールギターは大きく分けてラップ・スチールとペダル・スチールに分けられます。ペダル・スチールは、ギターにペダルやニー・レバーが付いていますが、ここで紹介するのは、ラップ・スチールです。ラップ・スチールは、名前の通り、ひざに置いて弾きます。先に紹介したように、スタンドに立てて、立って弾く事もできます。

▲スチール・ギターを弾く

スチールギターの特徴
ico_num5a_1スチールギターは常にバーを使って弾きます。スライド・プレイの経験者は解ると思いますが、押弦に比べ、自由なコード・フォームを作る事ができません。コードは基本的なトライアドを中心に弾き、4和音以上のコードは構成音を考えながら、2和音、3和音を組み合わせて弾く事になります。

ico_num5a_2右手はサム・ピックとフィンガー・ピックなので、ストロークで弾くのではなく、各弦を爪弾きます。ストロークは殆どしません。ストロークしない限りは、同時発音数は最大で3音です。殆どのフレーズが、単音か2音、3音の組み合わせになります。

ico_num5a_3バーを使うプレイ・スタイルのため、チューニングがオープンになります。チューニングのパターンは色々ありますので、全てを網羅する事はできません。ジャンルや弾きたいフレーズに合わせて2つ、3つのチューニングを覚えて弾きこなします。

ico_num5a_4主に使われるジャンルはハワイアンかカントリーです。それらの雰囲気を出したい時に使われる事もあります。カントリーで使われるのは、ペダルの付いたペダル・スチールが多いです。が、CINDY CASHDOLLARのようにペダルのないスチール・ギターでもカントリーの名手が沢山います。通常のギターと違って、どんなジャンルでもオールマイティーに使われている訳ではないようです。

チューニングについて
スチールギターは左手にバーを持って弾く為、オープン・チューニングで弾く事が基本となります。様々なプレイヤーが独自のチューニングで弾いていますが、ここでは一般的に使われるC6チューニングの一例を紹介しておきましょう。各弦のチューニングは以下の通りです。

10弦 8弦 6弦 音程 音名
1弦 1弦   G
2弦 2弦 1弦 E
3弦 3弦 2弦 C
4弦 4弦 3弦 A
5弦 5弦 4弦 G
6弦 6弦 5弦 E
7弦 7弦 6弦 C
8弦 8弦   A
9弦     F ファ
10弦     C

6弦スチール・ギターのチューニング表を見てみましょう。1~3弦は開放弦でAm、4~6弦はCになります。開放をじょろ~んと弾くとC6又はAm7になります。スチールギターには、通常のギターと同じようなルート音の概念がありません。コードは構成音のみで考えます。従ってC6=Am7になります。これは、ウクレレの開放弦と同じ構成音になります。8弦や10弦のチューニングは、これと違うものも多く使われます。あくまで、一例と思っておいて下さい。特に8弦のチューニングは1弦~ECAGECAGとするものがよく使われます。1~4弦のオクターブ下を5~8弦に張ったものです。

Tunning

※スチール・ギターのチューニングは、全弦を440Hzで合わせてはいません。スチール・ギターは、弦によって基準となる音程を変えています。このチューニング観が、また独特なニュアンスを生みます。

スチールギターの弦
スチール・ギターは、名前の通りスチール弦を張っています。チューニングに合わせて弦のゲージは大体以下のようになっています。メーカーやプレイヤーの好みで違いはあります。バーを使って弾くので、フラット・ワインドの弦を使う事も多いです。弦は、6弦用、8弦用、10弦用のセットで販売されています。10弦のセットで1,200円〜3,000円位です。

音程 ゲージ
SteelStrings
▲8弦のセット弦です
1 G 012
2 E 014
3 C 018
4 A 022
5 G 024
6 E 030
7 C 036
8 A 042
9 F 054
10 C 068

足回り
スチールギターの多くは、エレキ・ギター同様にアンプに繋いで音を鳴らします。アコースティックのスチールギターもあります。アンプは、通常のエレキ・ギターで使われるアンプを使えばいいです。スチールギター専用のアンプもありますが、高価な事と、国内にあまり流通していないので、入手は困難でしょう。その際、クリーン・トーンに特化したフェンダー系のアンプや、RolandのJC-120等を使うと良いでしょう。アンプを繋ぐという事は、エフェクターを繋ぐこともできます。特に、手元でのボリューム・コントロールが難しいため、ボリューム・ペダルは多く使われます。音の特徴を活かして、リバーブやディレイの空間系も用意するといいでしょう。また、コンプ系のエフェクターも良く使われます。サスティンを活かす事がプレイの特徴なので、あると便利です。

Efx

次回に持ち越し
スチールギターは独特なサウンドを持つ楽器ですが、ボトル・ネックのギターとの違いは?卓越した演奏技術があれば、それに勝るサウンドは通常のギターで鳴らすことは出来ませんが、けっこうな所まではボトルでも似たようなサウンドを出す事ができます。では、スチールギターの優れている点は何なんでしょう?ゆっくり検証していきましょう。

金髪先生

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